2月 2
20インチBMX – MOTOとRAWの設計について
今回は、今まで話題にしていないDURCUS ONEのスタッフの事や、MOTO・RAWの開発での裏話、RAWについてこだわりのポイントを記載しようと思います。
この記事を読んでいただき、少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。
ただ、今回はかなりマニアックな話が多いので、どんな製品なの?って方は、各製品の一般的な内容を一度見てから読んでもらう事をオススメします。
MOTOについて
RAWについて
RAW FRAMEについて
他に製品開発において、DURCUS ONEライダー達からのフィードバックや、パートナーである全国のディーラーショップの意見は欠かせないもので、後押しもしてくれています。
MOTO、RAW、RAW FRAMEもその中の一つです。
まず初めに、MOTOとRAWは兄弟的なモデルと言えます。
MOTOの上位機種がRAW。
2つのモデルのフレームの設計コンセプトは同様でストリート・パーク・ダートまでオールラウンドに乗り味を楽しんでもらえるよう考えられてます。
そのことでジオメトリーがとても似ています。
トップチューブ | 495mm(19.5″)、520mm(20.5″)、527mm(20.75″) |
チェーンステー長 | 327.5mm〜339.8mm(12.9″〜13.38″) |
ボトムブラケットハイト | 292mm(11.5″) |
ヘッドパイプ角度 | 75° |
シートパイプ角度 | 71° |
トップチューブ | 515.6mm(20.3″)、526mm(20.7″) |
チェーンステー長 | 327.5mm〜339.8mm(12.9″〜13.38″) |
ボトムブラケットハイト | 292mm(11.5″) |
ヘッドパイプ角度 | 75° |
シートパイプ角度 | 71° |
これにはいくつかの理由があります。
MOTOとRAWを設計するにあたり、約3年半に渡りフレームを何本もテストし、ライダー達のフィードバックを元に妥協のない満足のいく製品を作る事が課題でした。
それは両モデル共に、カッコ良く(見た目)、乗りやすく(扱いやすい)、長持ちし(トラブルの頻度が少ない)、発展性があり(カスタムしやすい)、できるだけ多くの人の手に届きやすく(安価・サイズ展開がある)する。
この記載した内容が上手くマッチしたようなバイクを作りたいという所でした。
フレームを設計する上で、カッコ良く、乗りやすく、長持ちしは当たり前の事でした。
その中で一番の課題は、できるだけ多くの人の手に届きやすく(いわゆるコストパフォーマンス)でした。
MOTO・RAW共に、これからBMXに乗りたい!と考えている若い世代に向けて、手に入れやすい価格は重要でした。
ただ、できる限り納得のいく物を提供したい。
RAWは、フルクロモリのフレームでプロが乗るものと同じにしたい。
この車体をベースにカスタムも楽しんでほしい。
ただ、できる限り価格を抑えBMXを気軽にスタートしてほしいと考えていました。
それは、このプロジェクト当初から難しい事だと解っていました。
フレーム(RAW)については、完成車と同じにする事。
これにより、MOTO・RAW・RAW FRAMEの価格を抑える事に成功し、リリースへとたどり着きました。
こんな事から、MOTOとRAWは生産の上で非常に絡み合っています。
また、MOTO、RAW共に発展性を持たす事にも重点を置きました。
これは様々な使い方でBMXを楽しむユーザーがいる中で、自分の乗り方や好みに合わせてカスタムをし、BMXをより楽しんでいただきたいと思う気持ちが強いからです。
またRAWのフレームはDURCUS ONEのサポートライダーの大霜 優馬が使用している物と同じで、ハードに使用するライダーも納得の発展性を持たせています。
■RAWのフレームのこだわった点について
・熱処理された8mm厚のフレームエンド
これはRAWのフレームで一番の特徴である箇所です。
アフターマーケットで販売されているフレームのリヤエンドの厚みは6mm〜7mmが多いですが、RAWのフレームには8mm厚を採用しています。
これは初心者から上級者まで激しいライディングをするライダーを想定し設計しました。
直径38mmのペグをつけた際、リヤエンドの下側が0.5mmペグよりも内側に入るように計算しています。
しかし、サンプルのフレームでは、8mm厚のリヤエンドでもDURCUS ONEライダー達は数ヶ月乗った後、リヤエンドを潰してきました。
そこで厚みに加え焼き入れをする事により、更にリヤエンドを強固にしています。
製品版ではDURCUS ONEライダー達はノントラブルで長い期間使用しています。
・各部のパイプについて
各部のパイプは軽量で強度が高い4130 CrMo(通称:クロモリ)を使用しています。
ボトムブラケットはシールドベアリングを直接圧入するMID BB、ヘッドチューブにはシールドベアリングを直接埋め込むインテグラル式にし耐久性とメンテナンス性を向上しました。
そして、トップチューブにはダブルバテッドチューブ、ダウンチューブとシートチューブにはバテッドチューブを使用。
これにより、強度が必要な箇所は厚く、必要ない箇所は薄くし、強度と軽さの両立を実現しました。
これは、DURCUS ONEライダー達とスタッフにより幾度となくテストをしています。
・乗り味について
乗り味は、ストリート・パーク・ダートジャンプと幅広くオールラウンドにライディングを楽しんでもらえるように仕上げています。
それはDURCUS ONEライダーのように、様々なスポットでBMXを楽しんでもらいたかったからです。
解りやすく例えるのであれば、極端な癖を取り除く方向で設計を行ってます。
フロントを上げやすくする為にはチェーンステーを短くするのが一般的ですが、ただ短くするのでは初心者に扱えなくなるようなピーキーなBMXになってしまいます。
そこで同時にボトムブラケットを少し低く設計することで安定性を確保し、かつフロントをあげるのが容易にできるフレームに仕上がってます。
それは、フレームの硬さにも言える事です。
適材適所にフレームにかかる捻れ(しなり)を考え設計しています。
各部のパイプの厚みや、太さ、長さ、溶接の位置にも重点を置きました。
1つ例に挙げてみると、トップチューブ・ダウンチューブの溶接の位置とヘッドパイプの長さです。
赤丸で囲った位置は、強度面と安定した品質を考慮しています。
ここは、このフレームのパイプ上で最も厚みのある箇所です。
インテグラルヘッドなので、フレームにベアリングを直接はめ込みます。
溶接部は熱で変形しやすので、ヘッドの回りが悪くならない様にも考慮した厚みとなっています。
ヘッド周りで最もダメージが蓄積する場所でもあります。
このフレームの場合で、他の箇所の変更が無かった時に限りますが、ここの距離が短いと乗った時に捻れが大きくなり、距離が長いとその逆です。
上記の点を考慮しながら、ヘッド周りを設計しています。
世の中にはヘッドパイプの長さの設定が様々ありますが、RAWは117mmを採用しています。
117mm長のヘッドパイプとしては、剛性を持たせ、捻れを少なくしています。
RAWのフレームの特性に合わせた丁度良い設定にしています。
この様な点を全ての箇所に考慮しながら、このフレームは成り立っています。
他の車体に関してもリリースするまでには様々なエピソードがあります。
かなり長くなってしまいますので、何かの機会でお伝えしようと思います。
そして、こちらの動画はDURCUS ONEのライダーで、RAW FRAMEに乗る大霜 優馬の最新のエディットです。
是非チェックしてください↓
長々と読んでいただき、ありがとうございました。